はじめに
緑内障は、視神経に障害をもたらし、視野が徐々に狭くなる進行性の病気です。
失明のリスクもあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
しかし、緑内障の治療中に「知らずに飲んではいけない薬」を服用してしまうと、
眼圧が急激に上がり、症状を悪化させる恐れがあります。
この記事では、緑内障患者が注意すべき「禁忌薬」について、
薬の分類ごとに詳しく解説します。
さらに、一覧表でわかりやすくまとめましたので、現在治療中の方やご家族、
介護者の方はぜひ参考にしてください。
緑内障の種類と禁忌薬の関係
緑内障には主に以下の2種類があります:
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原発開放隅角緑内障(POAG):日本人に多く、進行が緩やか。禁忌薬は少ない。
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原発閉塞隅角緑内障(PACG):急激に眼圧が上昇し、発作を起こすことがある。多くの薬に注意が必要。
特に閉塞隅角緑内障の場合、薬によって瞳孔が開くことで隅角が閉じ、
眼圧が急上昇する危険があります。そのため、禁忌薬を理解し、
医師や薬剤師に必ず申告することが重要です。
緑内障患者が注意すべき薬の種類と作用
緑内障患者に影響を及ぼす可能性がある薬は、主に以下のようなカテゴリに分類されます。
1. 抗コリン作用をもつ薬(副交感神経を抑制)
代表例:
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抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
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抗うつ薬(三環系)
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抗パーキンソン薬
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胃腸薬(消化管運動抑制)
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抗精神病薬(フェノチアジン系)
抗コリン薬は、瞳孔を広げる作用があり、閉塞隅角緑内障の方にとって非常に危険です。
2. 血管拡張薬・鎮痛薬
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硝酸薬(ニトログリセリン):血管を拡張し、眼圧上昇のリスクがある。
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NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):影響は少ないが、個人差あり。
3. 向精神薬・抗うつ薬
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三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミンなど)
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SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):原則として安全だが、まれに注意が必要。
4. 抗てんかん薬・中枢神経作用薬
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トピラマート(抗てんかん薬):眼圧を急激に上げる報告あり。
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ベンゾジアゼピン系(安定剤):緩やかに瞳孔が開くことがある。
【一覧表】緑内障患者が注意すべき禁忌薬
| 薬の分類 | 具体例 | 注意点・理由 | 対象緑内障 |
|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬 | ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン | 瞳孔が開く → 隅角閉塞の危険 | 閉塞隅角型 |
| 抗うつ薬(三環系) | アミトリプチリン、イミプラミン | 抗コリン作用 → 眼圧上昇リスク | 閉塞隅角型 |
| 抗精神病薬 | クロルプロマジン、ハロペリドール | 同上 | 閉塞隅角型 |
| 抗パーキンソン薬 | ビペリデン、トリヘキシフェニジル | 抗コリン作用で危険 | 閉塞隅角型 |
| 胃腸薬(鎮痙薬) | ブスコパン、ピレンゼピン | 瞳孔散大作用 → 発作誘発の可能性 | 閉塞隅角型 |
| 抗てんかん薬 | トピラマート | 急激な眼圧上昇の報告あり | 両型注意 |
| 鎮静・睡眠薬 | ジアゼパム、ロラゼパム | 瞳孔反応鈍化 → 閉塞リスク | 閉塞隅角型 |
| 抗不安薬 | クロナゼパム、エチゾラム | 眼圧上昇は少ないが、個人差あり | 要注意 |
| ステロイド薬(内服・点眼) | プレドニゾロン、デキサメタゾン | 長期使用で眼圧上昇リスク | 両型注意 |
| 鼻炎薬・風邪薬 | 市販の総合感冒薬(抗ヒスタミン含有) | 成分が抗コリン系 → 無自覚に服用しがち | 閉塞隅角型 |
市販薬にも要注意!風邪薬・アレルギー薬・目薬にも危険が?
一般的なドラッグストアで購入できる市販薬にも、多くの抗コリン作用成分が含まれています。
特に注意が必要なのは以下のようなものです。
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総合感冒薬(風邪薬):抗ヒスタミンや咳止め成分に注意。
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鼻炎用スプレー:交感神経刺激薬が含まれ、眼圧に影響。
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一部の目薬:瞳孔を開く成分(散瞳薬)入りの目薬。
対策:
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「緑内障です」と薬剤師に申告する。
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成分表に「抗ヒスタミン」「抗コリン」などの記載がある薬は避ける。
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医師や薬剤師に相談して代替薬を選ぶ。
医師・薬剤師に伝えるべきこと
病院や薬局で薬をもらう際には、以下の情報を必ず伝えましょう。
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「緑内障で治療中であること」
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「閉塞隅角型か開放隅角型か」
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「使っている目薬や点眼薬の名称」
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「過去に薬で眼圧が上がったことがあるか」
医師の中でも緑内障に詳しくない場合があるため、自分から積極的に伝えることが大切です。
緑内障患者の薬との付き合い方|安全に過ごすポイント
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自己判断で市販薬を使わない
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「緑内障専用」の医薬品がある場合はそれを選ぶ
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持病がある場合は、主治医と眼科医の連携を促す
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定期的な眼圧チェックと視野検査を欠かさない
まとめ
緑内障患者にとって、「薬との付き合い方」は非常に重要なテーマです。
とくに閉塞隅角型緑内障の方は、薬の影響で症状が急激に悪化する可能性があります。
この記事で紹介した禁忌薬一覧を参考に、医療機関での申告や市販薬の選び方に注意し、
安心して日常生活を送れるようにしましょう。


