緑内障は、日本人の失明原因の第1位ともいわれる目の病気です。視神経が少しずつダメージを受け、放置すると視野が狭くなっていくのが特徴。治療には眼圧を下げる点眼薬やレーザー治療などが用いられますが、日常生活における食事や生活習慣も、進行予防に関わる可能性があります。
そんな中、近年注目されているのが「チョコレート」と緑内障との関係です。
チョコレートといえば、カカオポリフェノールによる抗酸化作用で健康効果が話題になっていますが、目の健康にも関係するのでしょうか?
本記事では、最新の研究や専門家の意見をもとに「緑内障とチョコレートの関係」について分かりやすく解説します。
緑内障とは?
緑内障は、眼圧(目の中の圧力)が高まることで視神経が圧迫され、視野が徐々に欠けていく疾患です。しかし実際には、眼圧が正常範囲でも発症する「正常眼圧緑内障」が日本人では多くを占めています。
視神経のダメージには以下のような要因が関係するといわれています。
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眼圧の上昇
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血流の悪化(視神経への酸素・栄養不足)
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酸化ストレスや神経細胞の老化
つまり、「血流をよくする」「酸化ダメージを防ぐ」といった生活習慣は、緑内障の進行を抑える可能性があると考えられています。
チョコレートに含まれる栄養成分と目への作用
チョコレート、特にカカオ分の多い「高カカオチョコレート」には、次のような有効成分が含まれています。
●カカオポリフェノール
強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化や酸化ストレスを抑制します。視神経や網膜の細胞を酸化から守る働きが期待できます。
●テオブロミン
血管拡張作用があり、脳や目の血流を改善する可能性があります。視神経の血流が改善すれば、神経細胞の代謝にも良い影響を与える可能性があります。
●マグネシウム・亜鉛
神経伝達や細胞修復に必要なミネラル。欠乏すると眼精疲労や血流低下にも関わるため、バランスよく摂取することが大切です。
緑内障とチョコレートに関する研究
実際に「チョコレートが緑内障に良いのか?」という点については、いくつかの研究が行われています。
ある海外研究(米国・眼科学会誌 JAMA Ophthalmology)では、ダークチョコレートを摂取した後、一時的に視覚コントラスト感度(見え方の鮮明さ)が改善したという結果が報告されました。
これは、カカオポリフェノールが血管内皮を保護し、眼血流を良くしたためと考えられています。
一方で、チョコレートの摂取が「眼圧を直接下げる」「緑内障を改善する」という明確な科学的根拠は、現時点ではありません。
むしろ糖分や脂肪分の過剰摂取が体重増加や血管機能の悪化につながるため、摂り過ぎには注意が必要です。
専門家のコメント
眼科医・医学博士
「チョコレートに含まれるポリフェノールやテオブロミンは、血流や抗酸化の観点でプラスに働く可能性があります。ただし、緑内障そのものの治療や予防効果があるとは言えません。あくまで目の健康を支える一助と考えるのが良いでしょう。
また、糖分が多いミルクチョコレートではなく、カカオ70%以上のダークチョコレートを少量(1日20g程度)取り入れるのが理想的です。」
チョコレートを食べる際の注意点
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食べ過ぎに注意:チョコレートは脂質と糖質が多く、肥満や血糖上昇は血流悪化の原因に。
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高カカオタイプを選ぶ:カカオ70〜85%のものはポリフェノールが豊富でおすすめ。
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夜遅くの摂取を避ける:テオブロミンの覚醒作用で睡眠が浅くなる場合があります。
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カフェインとの併用注意:コーヒーとの併用でカフェイン過多になることもあるため、バランスを意識。
緑内障患者にとって理想的な食生活とは?
チョコレートだけに限らず、緑内障を持つ人が意識したいのは「全身の血流と酸化ストレスのコントロール」です。
●意識したい食品
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緑黄色野菜(ルテイン・ビタミンC・E)
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青魚(DHA・EPA)
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ナッツ類(ビタミンE・オメガ3)
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お茶・コーヒー(カテキン・クロロゲン酸)適量
これらをバランスよく摂ることで、眼血流と神経保護に良い影響をもたらすと考えられています。
まとめ
チョコレートは、カカオポリフェノールやテオブロミンといった成分が含まれており、血流改善や抗酸化の面で「目の健康を支える食品」といえます。
ただし、緑内障の治療や眼圧コントロールを代替するものではありません。
1日20g程度の高カカオチョコレートを、バランスの良い食事とともに楽しむ程度が理想です。
日々の生活で血流や栄養バランスを整えることが、緑内障の進行を穏やかに保つための第一歩になるでしょう。
