緑内障とコーヒーの関係は?1日の適量と注意点を眼科専門医が解説|飲み過ぎると危険?

緑内障

ーヒーは私たちの生活に欠かせない飲み物ですが、「コーヒーを飲むと眼圧が上がる」「緑内障に良くない」という話を耳にしたことはありませんか?
緑内障は日本人の失明原因の第1位といわれており、日々の習慣が病気の進行に関係するのではないかと、多くの方が心配しています。

実際、コーヒーに含まれるカフェインには一時的に血圧や眼圧を上げる作用があるため、緑内障患者にとって注意が必要な面もあります。
しかし一方で、最近の研究では「習慣的な摂取が眼圧を安定させる」「適量なら問題ない」といった報告もあり、意見が分かれています。

この記事では、最新の研究や専門家の見解をもとに、「緑内障とコーヒーの関係性」そして「1日何杯までなら安心して飲めるのか」をわかりやすく解説します。

緑内障とは?仕組みとリスクを簡単に解説

緑内障とは、眼の中の圧力(眼圧)が上昇し、視神経が徐々にダメージを受ける病気です。
視神経は目から脳へ情報を送る「ケーブル」のような働きをしていますが、この神経が障害を受けると、視野の一部が欠けていき、最悪の場合は失明に至ります。

特徴的なのは、初期にはほとんど自覚症状がないこと。気づいたときには視野が狭くなっているケースも少なくありません。
日本では40歳以上の20人に1人が緑内障といわれており、加齢や遺伝、ストレス、生活習慣なども関係します。

緑内障は「完治する」病気ではありませんが、早期発見と治療によって進行を止めることが可能です。
そのため、定期的な眼科検診や、生活習慣の見直しが非常に重要になります。

🩺 眼科専門医コメント
「眼圧は日常生活の中でも少しずつ変動します。カフェイン、ストレス、睡眠不足などが重なると上がりやすくなるため、生活のリズムを整えることが治療の第一歩です。」

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コーヒーが眼圧に影響する理由

コーヒーといえばカフェイン。そのカフェインが、眼圧と深く関係しています。

カフェインには中枢神経を刺激し、交感神経を活発にさせる作用があります。その結果、血圧や心拍数が一時的に上昇し、目の中の「房水(ぼうすい)」という液体の流れにも影響を与えます。
房水の産生が一時的に増えると、眼の中の圧=眼圧が少し上がることがあります。

ただし、この上昇は一時的かつ軽度であり、健康な人であれば30分〜1時間程度で元に戻るといわれています。
また、日常的にコーヒーを飲んでいる人では耐性ができ、眼圧の変化がほとんど見られないこともあります。

一方で、脱水状態になると眼圧が変動しやすいため、コーヒーばかりを飲んで水分補給を怠るのはNGです。

・コーヒーのカフェインは一時的に眼圧を上げることがある

・影響の程度は個人差が大きい

・水分補給を忘れずに行うことが重要

緑内障とコーヒーの研究結果

これまでに、世界各国で「緑内障とコーヒー」の関係を調べる研究が行われてきました。興味深いことに、結果は一様ではありません。

🔬 アメリカ・ハーバード大学の研究

ハーバード大学の疫学研究では、1日3杯以上のカフェインを摂取する人のうち、一部の遺伝的体質をもつ人で緑内障リスクが上がったという結果が報告されました。
つまり、「カフェインを代謝しにくい体質の人」にとっては影響が強く出る可能性があるのです。

🇯🇵 日本国内の研究

一方、日本の大学病院で行われた研究では、「1〜2杯程度のコーヒーでは眼圧に有意な変化は見られなかった」と発表されています。
さらに、日常的に少量を摂取している人では、むしろ眼圧が安定する傾向があったとも報告されています。

このように、研究結果は一概に「コーヒー=悪」とは言えません。
重要なのは、「飲み方」「量」「体質」によって影響が変わるという点です。

👨‍⚕️ 医師の見解
「緑内障の方でも、コーヒーを完全にやめる必要はありません。1日2〜3杯を目安に、体調に合わせてコントロールすれば問題ないケースがほとんどです。」

緑内障患者はコーヒーを何杯まで飲んでいい?

では、具体的にどのくらいの量が適量なのでしょうか。

一般的な目安としては、1日3杯程度までであれば問題ないとされています。
これは世界保健機関(WHO)や厚生労働省が推奨する「1日400mg以下のカフェイン摂取量」をもとにしたものです。

飲み物 カフェイン含有量(1杯あたり)
コーヒー(150ml) 約80〜100mg
紅茶(150ml) 約30mg
緑茶(150ml) 約30mg
エナジードリンク(1本) 約80mg

ただし、これはあくまで「健康な成人」の基準。
緑内障や高血圧を持つ人は、一度に大量摂取せず、時間を分けて飲むことが大切です。

たとえば、

  • 朝食後に1杯

  • 昼食後に1杯

  • 午後のリラックスタイムに1杯

このように分けて飲めば、眼圧の急上昇を防ぐことができます。

また、睡眠前のコーヒーは交感神経を刺激して寝つきを悪くするため避けましょう。

☕ まとめポイント

  • 一度に大量に飲まない(特に空腹時・寝不足時は注意)

  • 1日3杯を上限の目安に

  • 「飲み方」と「タイミング」が重要

コーヒー以外で注意すべき飲み物・習慣

コーヒーだけでなく、実は他の飲み物にもカフェインは含まれています。

特に注意したいのが、エナジードリンクや栄養ドリンク
1本に含まれるカフェイン量はコーヒー1杯分と同等かそれ以上のものもあり、知らないうちに過剰摂取してしまう危険があります。

また、緑茶や紅茶も日常的に飲む人が多く、トータルで見ると意外にカフェインを多く摂取している場合も。
「コーヒーは2杯だけだから大丈夫」と思っていても、他の飲み物と合わせると上限を超えることがあるので注意が必要です。

生活習慣面では、喫煙・ストレス・睡眠不足が眼圧を上げる要因として知られています。
コーヒーだけを気にするのではなく、全体の生活リズムを整えることが緑内障管理の鍵となります。

医師が推奨する「コーヒーとの上手な付き合い方」

緑内障患者にとって、コーヒーを完全に避ける必要はありません。
むしろ、リラックス効果や抗酸化作用など、適度なコーヒーは心身に良い影響をもたらすこともあります。

医師がすすめる上手な付き合い方は以下の通りです。

  1. カフェインレスコーヒーを活用する
     最近は味も香りも通常のコーヒーに近いものが増えています。夕食後などにおすすめ。

  2. 空腹時を避けて飲む
     胃酸分泌が増え、血圧や眼圧が上がりやすくなるため、食後の1杯が理想。

  3. 水分を一緒に摂る
     コーヒーには利尿作用があるため、コップ1杯の水をセットで飲むとバランスがとれます。

  4. 定期的に眼圧をチェックする
     コーヒーを飲む習慣がある人は、検診時に医師へ「普段どのくらい飲むか」を伝えることで、より的確なアドバイスが受けられます。

👩‍⚕️ 専門家コメント
「緑内障と上手に付き合うには、禁止ではなく“バランス”が大切。コーヒーも同じです。飲み方を工夫すれば、無理なく続けられます。」

まとめ

コーヒーは、緑内障の直接的な原因ではありません。
しかし、過剰に摂取すると一時的に眼圧を上げる可能性があるため、量とタイミングを意識することが大切です。

一日の目安は3杯程度まで。
食後やリラックスタイムに分けて飲み、体調や主治医のアドバイスに合わせて調整しましょう。

そして、コーヒー以上に重要なのは「定期検診」と「生活リズムの安定」です。
コーヒーと上手に付き合いながら、毎日の視界を守っていくことが、緑内障との賢い向き合い方といえるでしょう。

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